イトヨ(日本海型)
学名 Gasterosteus aculeatus (日本海型)   トゲウオ目   トゲウオ科
分類群 5
RDBランク 8 (魚類)
和名 イトヨ(日本海型)
目科 トゲウオ目   トゲウオ科
学名 Gasterosteus aculeatus (日本海型)
具体的要件 (1) 国際的、国内的に保護を要すると評価されているもの。
分布 北海道の日本海沿岸とオホーツク海沿岸を中心に分布し、北日本の太平洋岸の一部にも生息する。山口県が西限となる。大西洋周縁のヨーロッパと北アメリカ、および太平洋周縁の北アメリカからアジアに分布する。アジア側では、カムチャツカ半島、沿海州、朝鮮半島の日本海側、千島列島、および日本列島に生息している。日本列島周辺には北アメリカから日本の太平洋沿岸にかけて連続的に分布し遡河回遊型および河川型から構成される太平洋型と、朝鮮半島から北海道に至る日本海沿岸とオホーツク海沿岸を中心に分布し、遡河回遊型だけで構成される日本海型の、遺伝的組成の異なる2つのグループが存在する。
生息環境 主に河川の下流域(Bc型)から中流域(Bb型)にかけての流れの緩やかな場所に生息する。河床は泥底で、川岸にヨシ等の抽水植物の生育する環境を好む。流れの急な上流域(Aa-Bb移行型〜Aa型)では少ない。産卵期以外の時期には海の沿岸部や潮溜りなどで生活している。
生活史 産卵のために河川に遡上する遡河回遊魚。孵化仔魚の体長は4.2〜4.9mmで、雄親に保護されて成長する。2〜3日で卵黄を吸収して後期仔魚となり、体長2〜3cmになると巣を離れ、夏から秋にかけて海へ下る。降海後は沿岸域で生活し、翌年産卵のために再び河川に遡上する。多くのものは生後1年で全長6〜10cmに達し、成熟・産卵して一生を終える。
摂餌生態 肉食性で、水生昆虫や小型の甲殻類などを餌にしている。
繁殖生態 産卵期は5月中旬から7月中旬の約2ヶ月間。雄が流れの緩やかな砂泥底になわばりを確保し、水草の繊維などを腎臓から分泌した粘液で固めて巣を作る。雄は腹の膨れた雌を見つけるとジグザグダンスと呼ばれる求愛行動を行い、巣穴の中へ導く。雌は尾柄を雄につつかれることが刺激となって卵を産み落とし巣から離れると、雄はただちに巣に入り放精する。その後雄は卵や稚魚の保護に専念し、他の雄がなわばりに侵入すると果敢な攻撃を加える。1回の産卵数は30〜150粒で、雄は2〜3尾の雌を巣内に入れるので、一つの巣には最大百粒が産みつけられる。卵は直径が約1.5mmで、水温18〜19℃では約8日で孵化する。
生息状況 'すべての個体群は遡河回遊性の生活を送るため、河川に生息するのは産卵期の成魚と、生活史初期の仔稚魚に限られる。近年、中・下流域における護岸や、堰堤建設によって、好適な成育場所や、繁殖場所が減少している。河川の中流域から下流域にある小川や用水路から海までの移動が容易であることと、水生植物の生育する産卵環境の保全が重要である。
環境庁RDB1991
環境庁レッドリスト1999
水産庁1998
天然記念物
備考