分類群 |
5 |
RDBランク |
7 (魚類) |
和名 |
日高以西のシシャモ個体群 |
目科 |
サケ目   キュウリウオ科 |
学名 |
Spirinchus lanceolatus |
具体的要件 |
(1) 希少種に準じて保護に留意すべき種の地域個体群で、生息・生育域が孤立しており、その地域において絶滅に瀕しているか、その危険が増大しているもの。 |
分布 |
南限は八雲町の遊楽部川で、その他長万部川、鵡川、沙流川、十勝川、茶路川、庶路川、阿寒川、釧路川、尾幌川などの限られた地域の河川にしか遡上しない。世界中で北海道の太平洋沿岸にしか分布していない。 |
生息環境 |
道東海域では襟裳岬から厚岸海域までの水深120m以浅に分布し、その主分布域は庶野〜釧路沖の水深20〜30m地点で、産卵期には遡上河川の沿岸域に密集する。遡上範囲は河口から十数キロ以内の平野部。産卵場は河川規模によって異なり、釧路川、十勝川の様な大河川では河口の上流約10〜15km、沙流川・鵡川では2〜4kmで、1〜3mmの砂礫が堆積している流心部である。 |
生活史 |
産卵の為に河川に遡上する遡河回遊魚。孵化仔魚は全長8mm程で、融雪増水に乗り、一日以内に降海し2〜3日以内に摂餌を開始する。降海直後の稚魚は河川水の張り出しの範囲で、主に表、中層で生活するが、その後底層生活に移り、20〜30m水深の比較的浅い沿岸域で生活し、120m以深で生活することは無いとされている。海洋生活は不明な点が多く、降海後再び漁獲の対象となるのは、越冬後の夏からである。8月以後、生殖線は急速に発達し、二次性徴も顕著となり、10月以後桁曳漁業による本格的な漁獲の対象となる。多くは孵化した翌年の秋に性成熟に達し産卵のために河川に遡上する。遡上親魚の体長は雄が134〜135mm、雌が118〜121mm程度で、一般に雄の方が大きい。雌では孵化した翌年の秋に産卵に参加し、翌年再び産卵に参加するとされている。雄では大部分が2年魚または3年魚で産卵に参加し、死亡する。 |
摂餌生態 |
未成魚や成魚は多毛類、小型甲殻類(端脚類、等脚類)などの底生生物を食べる。 |
繁殖生態 |
産卵期は10月中旬から11月下旬で、数日間に群をなして特定の河川に遡上する。雄は斜め後方より雌に接近し、魚体を並べると大きな臀鰭で雌を押さえるつける格好で川底に接しながら激しく追尾した後、放卵・放精に至る。受精卵は雌雄の魚体が離れた瞬間に臀鰭の上から水中に放され水流に乗って流下するが、やがて降下し砂礫に接すると、卵の大部分を覆っていた付着膜が反転し川底の砂礫に固着する。抱卵数は全長145mmの2年魚で約6700粒、176mmの3年魚でおよそ12600粒である。卵は冬期間を川底で過ごし、孵化は4月中旬(日高)〜5月下旬で約5ヶ月間の孵化日数を要する。(積算温度400℃、日) |
生息状況 |
'襟裳岬以西では、漁獲対象資源としては極めて低い水準となっている。一方、襟裳岬以東の海域では1988年に過去最低の漁獲量となったが、その後は増加傾向にある。なお、釧路川では自然産卵方式の人工孵化、放流が行われている。 |
環境庁RDB1991 |
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環境庁レッドリスト1999 |
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水産庁1998 |
減少種(襟裳以西) |
天然記念物 |
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備考 |
1):襟裳以西、2):襟裳以東、3)日高以西 |