マハゼ
学名 Acanthogobius flavimanus   スズキ目   ハゼ科
分類群 5
RDBランク 6 (魚類)
和名 マハゼ
目科 スズキ目   ハゼ科
学名 Acanthogobius flavimanus
具体的要件 (1) 環境条件の変化によって容易に上位ランクに移行し得る属性を有するもの。a どの生息・生育地においても生息・生育密度が低く希少である。b 生息・生育地が極限されている。(2) 種の存続への圧迫が強まっているもの。b 生息・生育条件が悪化している。
分布 北海道南部(太平洋側で沙流川・日本海側で留萌川)から九州沿岸、種子島まで分布する。ウラジオストック付近から朝鮮半島、中国に分布する。また、近年になってカリフォルニアやシドニーなどにも定着していることが知られている。
生息環境 川の汽水域や内湾に生息し、夏には多数の未成魚が河口の干潟や河川下流域にも侵入する。晩春から秋にかけては純淡水域まで遡るものもある。成長するにつれ、順次海の影響の強い方へ移動し、晩秋から冬には沿岸の深みへ移って行く。内湾のかなり汚染された水域にも生息しており、汚染への耐性は強い。
生活史 主に港内や河口の汽水域で生活する汽水性淡水魚。孵化仔魚は全長4.6〜5.0mm。17mmあまりで体節構造が定数になる。孵化直後から全長約主に港内や河口の汽水域で生活する汽水性淡水魚。孵化仔魚は全長4.6〜5.0mm。17mmあまりで体節構造が定数になる。孵化直後から全長約12mmまでの仔魚は、泥場や藻場で浮遊生活を送り、全長15〜20mmぐらいで底生生活に入り、一部は川の下流へも遡上する。1年で成熟して産卵し死亡する成長の早い群と、成長が遅く2年で成熟する群とが存在する。前者は、孵化した年の5月に1.4cm、8月に4.5cm、12月に9.3cm、翌旬の3月には11.5cm程度になる。一方後者では孵化翌年の4月に8cm、5月に10cm、9月に13cmになる。道南の場合は雄は1年、雌は2年で成熟し、産卵後死亡するものが多い。
摂餌生態 仔稚魚は浮遊動物を主食とする。成魚は底生動物(ゴカイ類)を主食とするが、水草や藻類も食べる。大型個体は小魚を食べることが多い。貪食であり、摂餌量は5〜6月ごろに最も多く、12〜3月には少ない。摂餌活動は夏期には昼間に活発であるが、11月下旬から水温が15℃以下に低下すると夜間の摂餌が盛んになる。
繁殖生態 産卵期は、1〜6月で、暖かい地方では早く、寒い地方では遅い(道南では4月から6月下旬)。産卵場は汽水域(塩素量15‰程度の所)の、水深2〜7mの泥底または砂泥底であるが、稀に干潟でも行われる。雄は、20〜80cmの距離をへだてて2つの入り口をもつY字型の産卵室を掘り、孔道(直径約5cm)の下部内壁の泥表面に雌雄一対で卵を産みつける。体内卵数は6000(体長10.2cm)〜32000(17.3cm)程度である。卵はこん棒形で長径5.0〜5.8mm、短径0.96mm。水温13℃で約28日間で孵化する。
生息状況 本州では古くから食用、あるいは遊漁の対象とされており、広く知られた魚であるが、道内では分布域も狭く、生息数はさほど多くはないと推定される。
環境庁RDB1991
環境庁レッドリスト1999
水産庁1998
天然記念物
備考