イシカリワカサギ
学名 Hypomesus olidus   サケ目   キュウリウオ科
分類群 5
RDBランク 6 (魚類)
和名 イシカリワカサギ
目科 サケ目   キュウリウオ科
学名 Hypomesus olidus
具体的要件 (1) 環境条件の変化によって容易に上位ランクに移行し得る属性を有するもの。a どの生息・生育地においても生息・生育密度が低く希少である。b 生息・生育地が極限されている。
分布 日本では北海道にのみ分布する。いままで生息が報告されているのは、石狩古川、緒滑川水系、釧路川水系の塘路湖と天塩川水系の天塩パンケ沼、十勝川水系幌岡大沼、余市川水系旧河川の6カ所であるが、近年稚内市のメグマ沼、厚岸町の床潭沼でも確認されている。北海道、朝鮮半島、沿海州、サハリン、シベリア東部、カムチャツカ、アラスカ、カナダ西部に分布する。
生息環境 これまでに北海道で知られている代表的な生息域は、釧路湿原の東縁に位置する海跡湖の塘路湖とその周辺の湖沼、天塩パンケ沼並びに河川下流域(Bc型)あるいは中流域に種々の規模で点在する河跡湖(石狩川水系、十勝川水系、渚滑川水系、余市川水系など)等の止水域であり、この他低地帯を緩慢に流れる支流の下流域等にも小規模に生息する。位置的には泥炭地ないし湿地で、腐食質の影響下にある生息地が多い。
生活史 北海道では降海の例は知られておらず、一生を淡水で過ごす河川・湖沼性魚であるが、東サハリンには河川・湖沼型と遡河型の両方がみられる。孵化直後に体長約5mmの仔魚は、石狩古川の場合では5月下旬には平均17mm、10月中旬には平均57.3mmに達して、翌年春までに8〜9cmに成長し成熟する。最大18cmに達する。
摂餌生態 カムチャツカ半島南西部の河口では体長5cm未満のものは大部分がソコミジンコ類や双翅類幼生を食べるが、成長につれてアミ類と小型のエビ類が増える。石狩川中下流域にある河跡湖では、陸生落下昆虫や小魚も成魚の餌となる。
繁殖生態 石狩古川での産卵期は4月中〜下旬で、水温が7〜10℃の頃に盛期となる。産卵場は湖の沿岸やこれに連なる水路(流速0.7〜0.9m/s)で水通しがよく、水深は1mに満たない場所が多い。直径約1mmの卵は水没している水草や草木の根、木の枝等の植物質に産み付けられる。産卵数は1200〜4000程度。親魚の年齢は石狩古川では満1〜2年のものが多い。水温9.7〜11.3℃では約18日で孵化する。
生息状況 漁業の対象になってはいるものの、その漁獲量に関する資料は不充分である。ワカサギ漁が行われている石狩古川・塘路湖では漁獲量はいずれもワカサギの方が多く、イシカリワカサギの資源量は減少傾向にあると思われる。これはワカサギの増殖を目的として継続されている移植放流の影響とも考えられる。また、本種の生息する小規模な河跡湖は環境保全の対象となりにくく、埋め立てや都市生活排水の流入等による生息環境の悪化が懸念される。
環境庁RDB1991
環境庁レッドリスト1999 情報不足
水産庁1998 減少傾向
天然記念物
備考