分類群 |
5 |
RDBランク |
6 (魚類) |
和名 |
アユ |
目科 |
サケ目   アユ科 |
学名 |
Plecoglossus altivelis altivelis |
具体的要件 |
(1) 環境条件の変化によって容易に上位ランクに移行し得る属性を有するもの。b 生息・生育地が極限されている。 |
分布 |
両側回遊型:'北海道天塩川、噴火湾以南の日本各地に分布する。奄美大島と沖縄島に生息するものは別亜種である。陸封型:'琵琶湖・池田湖に分布する。その他鰻池、本栖湖などの自然湖沼、1ツ瀬ダム湖・芹川ダム湖、豊田ダム湖、神流湖などの人工湖にも放流され繁殖している。種としては、朝鮮半島からベトナム国境近くまでの中国大陸沿岸部と台湾島にも分布するが、台湾島では絶滅したとみられる。 |
生息環境 |
遡上時のアユは河川中流域(Bb型)に入ると、岩盤や石礫のあるところに好んで定住する。その後は、早瀬や平瀬および淵の一部になわばりを形成する。餌場として良好な瀬と休み場として良好な淵とが隣あっている所が生息地として特に好まれる。仔魚は海に下った当初は沿岸域に広く分布し、昼は底層に夜間は表層に生息する。春になり溯上期が近づくと岸よりに分布する。 |
生活史 |
孵化後に海へ下る両側回遊型と、一生を湖沼とその流入河川で過ごす陸封型がいる。 両側回遊型では、秋に孵化した仔魚(体長6mm)は直ちに海へ下り、翌春まで仔稚魚期を海で送る。体長5〜8cmに成長した稚魚は、川と海の水温が接近しはじめるころ(北海道では4月から6月)から、河川への溯上をはじめる。川では、中流域を中心に生息し、群れやなわばりを形成しながら日中に活動する。1年で20〜30cmになり成熟し、産卵後に死亡する。ただし、産卵しなかった雌には翌年まで生き延びるものも稀にいる。 陸封型では、湖沼で生活を完結するもの(コアユ)は体長6〜9cmで成熟するが、流入河川に溯上するものや、湖岸の岩盤上の付着藻類を食べるもの(オオアユ)は大きく成長する。 |
摂餌生態 |
仔魚は海域で卵黄を吸収する前から有機物破片を食べ始め、成長とともに浮遊動物を食べるようになる。稚魚期に入ると、いっそう岸寄りに生息するようになり、半底生性の大型浮遊動物を食べる。瀬つきアユは石に付着する藍藻や珪藻を唇でこそげ落として摂餌する。ただし、洪水の後などには水生昆虫のような動物質のものも食べる。徹底した昼行性で、昼間は休みなく摂餌し、1日の摂餌量は体重の40〜50%に達する。下りアユは摂餌しながら下流の産卵場に向かうが、産卵場に着いてからは摂餌しない。 陸封型では動物プランクトンを餌とし、仔魚も主にこれを食べる。 |
繁殖生態 |
両側回遊型の産卵時期は、北方では8月下旬〜10月、南方では10月下旬〜12月。産卵場は、河川形態的にみたBb-Bc以降型の場所の砂礫底で、軟質の場所となる。産卵は、1尾の雌に多数の雄が追尾し、主として夜間に行われる。雄は数週間にわたって産卵群に加わるのに対し、雌は一気に放卵するため、産卵末期を除き産卵群の性比は常に雄に偏る。産卵数は、体の大きさにほぼ比例し、体長12cmの個体では1万〜2万粒(直径0.75〜1.0mm)である。 陸封型の産卵時期は、普通のアユより半月から1ヵ月早くなる。産卵は主に流入河川で行われるが、流入河川の小さな湖では湖岸でも産卵が行われる。湖岸では深さ5〜15cmの、軟質の砂礫底で、吹送流のうちあたるところや、その逆側で渦流の生じる場所が選ばれる。卵数は両側回遊型より多く、体長12cmで約30000、コアユでは3000〜10000程度(直径0.55〜0.75mm)。卵は水温15〜20℃では2週間前後で孵化する。 |
生息状況 |
道南部から日本海側を北上し留萌付近、時には天塩川まで分布する。太平洋側は八雲以南。量的に多いのは江刺から余市までの比較的大きい河川である。 |
環境庁RDB1991 |
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環境庁レッドリスト1999 |
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水産庁1998 |
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天然記念物 |
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備考 |
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