ミヤベイワナ
学名 Salvelinus malma miyabei   サケ目   サケ科
分類群 5
RDBランク 6 (魚類)
和名 ミヤベイワナ
目科 サケ目   サケ科
学名 Salvelinus malma miyabei
具体的要件 (1) 環境条件の変化によって容易に上位ランクに移行し得る属性を有するもの。b 生息・生育地が極限されている。c 生物地理上、孤立した分布特性を有する。
分布 降湖型:北海道然別湖とその流入河川(ヤンベツ川、西の川、東の川)にのみ生息する。'河川残留型:北海道然別湖に流入する、ヤンベツ川、西の川、東の川にのみ生息する。日本(北海道)
生息環境 本種は低水温性のため、河川残留型では、直射日光を妨げ河川水温の上昇を防止する河畔林の存在が重要となる。降湖型は、表層水温が高くなる夏季には、躍層付近の10〜20m付近に分布している。 主な産卵場所となるヤンベツ川は全長10kmの渓流で、河口から2km付近までがBb型、7km付近までがAa-Bb移行型からAa型、それより上流の源流域はAa型となる。なお、然別湖の標高は810m。
生活史 然別湖に川から降下し、その後湖で生活する降湖型と、生涯河川で生活する河川残留型が存在する。孵化は1〜2月頃。3〜5月に浮上した稚魚は流れの緩やかな岸辺や淵で生活する。やがて6〜13cmに成長した個体(0+、1+)は7月頃から少しづつ川を降下し、それは11月頃まで続く。河川残留型の雄は満1歳体長9.5cm以上、雌は満2歳体長12cm以上で、降湖型の雄は満4歳体長23cm以上、雌は満3歳20cm以上で成熟する。60cmを越える個体も記録されているが、寿命は7年を越えるものは稀である。
摂餌生態 孵化後間もない稚魚は主にユスリカ幼虫やミジンコを食べる。その後成長した稚魚は降湖するまでに、カゲロウ、カワゲラの幼虫、落下昆虫などの流下動物を利用する。降湖後は元来、沖合ではプランクトン、岸辺では落下昆虫を主体に食べていたが、多くの魚種が移植された昨今ではワカサギ、ウグイの稚魚、動物プランクトン、および昆虫が餌料の主体となっている。
繁殖生態 8月から11月初旬に、成魚は産卵のために湖から河川に遡上する。産卵は9月中旬から始まり、11月末まで続く。(ピークは9月中旬から10月初旬。)通常降湖型の雌雄がつがいとなり、1〜5cm程度の礫の堆積したあまり流れの速くない瀬や淵尻に、雌が産卵床をつくって産卵する。体の小さい河川残留型の雄は、放卵中に産卵床へ突進して放精する場合が多い。雌は一産卵期に2〜3回産卵する。産卵後、降湖型雌雄はすみやかに湖に下りるが、河川残留型はそのまま川に残る。生涯に2回以上産卵に参加する個体は多いが、3回以上参加する個体は少ない。卵は淡黄色不透明で平均5.2mm、翌1月末に孵化する(積算温度約410℃)。
生息状況 昭和46〜47年頃、遡上個体数が100のオーダーにまで減少したが、それ以後、全面禁漁措置により徐々に資源は回復した。昭和60年前後にはピークに達したが、再び徐々に減少の傾向が伺える。近年(平成2〜6年)の遡上親魚捕獲数をみると、平成2・3年は多く、平成5・6年は相対的に少なくなっている傾向が見られる。これは、平成5・6年には6月にのみ1日30人以内、1人20尾以内の限定付きで釣りが解禁され、その結果として5816尾、4933尾がつられたことによる可能性が高いと考えられる。
環境庁RDB1991 希少種
環境庁レッドリスト1999 準絶滅危惧
水産庁1998 希少種
天然記念物 道指定天然記念物(然別湖のミヤベイワナ/鹿追町)
備考 環境庁レッドリスト(1999)では「Salvelinus malma krascheninnikovi」