イトウ
学名 Hucho perryi   サケ目   サケ科
分類群 5
RDBランク 3 (魚類)
和名 イトウ
目科 サケ目   サケ科
学名 Hucho perryi
具体的要件 (1) 既知のすべての個体群で、個体数が非常に危険な水準にまで減少している。(3) 既知のすべての個体群が、その繁殖能力をはるかに上回る捕獲圧にさらされている。本種が生息する河川の多くで、近年は改修工事や水質悪化等により、生息・産卵環境が急激に悪化・消失しており、その生息数は著しく減少している。「幻の魚」として遊魚者には人気が高く、捕獲が本種の減少に拍車をかけている。
分布 国内では北海道の道北および道東地方に分布するほか、石狩川水系金山湖、および尻別川水系にも生息する。かつては青森県にも生息していたが、現在では絶滅したと思われる。国外では、サハリン、ユーラシア大陸の沿海州沿岸を中心に局所的に分布する。
生息環境 一般的に勾配が緩く、蛇行しながら河口域に沼などが発達するような河川が好まれる。稚魚の時期は流れの緩やかな浅い場所、未成魚・成魚では水深の深い淵や倒木等の隠れ処のある河川下流域や湖沼を主な生息場所としている。生息水温は比較的低く、夏季に20℃に達することはほとんどない。
生活史 一生を淡水で過ごす陸封魚であるが、稀に降海する個体もいる。孵化仔魚は体長約15mm。約50日(体長24mm)で産卵床から浮上し分散する。1年で10cm、5年で30cm、10年で60cm、15年で100cmに達する。親魚は早春に上流の産卵域へ遡上し、産卵後は下流域に戻る。多回産卵魚で寿命は15〜20年と推定される。
摂餌生態 体長30cmぐらいまでは、主に水生昆虫、落下昆虫、端脚類などの小型動物を捕食しているが、その後はフクドジョウ、スナヤツメ、トゲウオ類を主体とした魚食性となる。大型の個体はカエル、ヘビ、ネズミ等も捕食する。
繁殖生態 産卵期は4〜5月。産卵は水質が清らかで河床が小砂利の支流で行われる。雌雄がペアを組み、場所を代えて2〜3カ所に産むことが多い。全ての卵を産むのに2〜3日を要し、この間にしばしばペアの相手を代えることがある。卵は直径6mm前後の球形で、鮮やかな橙赤色を示す。水温8℃で37〜40日で孵化する。
生息状況 かつては北海道のほぼ全域および青森県にも分布していたが、現在は北海道の限られた地方にしか生息していない。比較的生息数が多いのは道北・道東に限られ、分布南限の尻別川では著しく減少した。わずかに石狩川水系の金山湖では生息数が維持されているが、多くの水系で減少、または絶滅している。
環境庁RDB1991 危急種
環境庁レッドリスト1999 絶滅危惧IB類
水産庁1998 危急種
天然記念物
備考